保育の現場で情報通信技術の活用が活発化しています!
2018年6月13日今回は保険のお話から少し離れ、今問題となっている保育士の業務負担についてお話しいたします。
現在、女性の社会進出を阻む待機児童の問題は、未だ出口が見えない状況にあります。
国が策定した「子育て安心プラン」にも掲げられているように、待機児童ゼロを実現させるためには、その担い手となる保育士の確保が必要不可欠となります。しかし、その保育士の人手不足が深刻化しています。そこには、保育士の負担の大きさも強く影響していると思われます。
そこで、昨今、保育の現場で情報通信技術(ICT)を活用し、保育士の負担軽減を目指そうという動きが活発化しています。
ICTの活用が期待されること
保育士の業務でICTの活用が期待される分野としては、大きく「事務作業」と「安全管理」の2つがあります。
まずは、事務作業。
例えば、毎日の活動や園児の様子を記録する日誌や保護者向けの連絡帳をパソコンやタブレットで入力、保護者等とのやりとりもインターネットで行うことで、業務の時間を大幅に削減できます。その他、登園時間の管理や請求書の作成業務などにもICTの活用が可能です。
一方、安全管理では、特に昼寝の見守りでの導入例が増えています。内閣府の統計によると、乳幼児は睡眠中の死亡事故が多いとなっています。事故の防止や早期発見のために、保育士には、昼寝の間も園児の様子を頻繁にチェックし、記録する業務が求められます。そこで、センサーを使って睡眠中の園児の呼吸や体勢の確認を補助することで、業務の負担だけでなく、園児の命を預かるというプレッシャーをも軽減することができます。
安全管理の面では、その他に、スマート体温計で検温し、園児毎の連絡帳へ自動で転記するなどの活用例もあります。例えば福岡では、自治体が大学や企業と連携してIoT保育園の実証を行っています。
主な実証内容は、
①園内環境をセンサーで管理、感染症等の蔓延を防止する
②睡眠中の子供の呼吸や体勢をセンサーで確認、事故を防止する
③乳幼児の呼吸状況や体勢を記録する業務を支援する、
となっています。
※「IoT」とは、身の周りのあらゆるモノがインターネットにつながる仕組みのこと。
保育業界は、「手作業の良さ」を大切にする傾向があり、他の業界と比べてICTの導入が遅れていると言われています。確かに、手書きのカードや手作りの玩具は暖か味があり、園児や保護者にも喜ばれると思います。しかし、多くの業務を抱える保育士には、それもまた大きな負担となっているのです。
もちろん、どの業務にも人の手による作業、人の目によるチェックは必要です。ICTはあくまで補完的な役割にすぎないことを忘れてはいけません。しかし、ICTの活用により業務の負担を減らすことができれば、その分、保育士が園児と接する時間も増え、保育の質を高めることにも繋がります。
今後、保育や育児、介護などの現場で、ICTの導入はより活発になると思われます。更なる技術革新と多くの活用事例により、ICTの信頼性も今以上に高まることでしょう。育児や介護と仕事との両立の実現に向けて、こうした動きに関心を持つことは有意義なことだと思います。
HPH18612-006-01