従業員が安心して活用できる育休制度と職場の雰囲気づくり
2018年11月20日育児休業制度(以降、「育休制度」)について取り上げます。
育休制度とは
育休制度は、「育児・介護休業法」に基づき、労働者が育児のために休業できる制度です。
取得期間は、原則、子供が1歳になるまでの1年間。但し、保育園に入れないなどの場合、最長2年まで延長することができます。また、休業中には、雇用保険から、最初の半年は賃金の67%、それ以降は50%を給付金として受け取ることができます。
2017年10月、「改正育児・介護休業法」が施行されました。この改正において、保育園に入れないなどの場合、取得期間を最長2年まで延長することができるようになりました。更に、その他の改正点として、事業主に、個々の労働者に育休等に関する制度を知らせる努力義務や小学校就学まで育児に関する目的で利用できる休暇制度を設ける努力義務が新たに創設されています。
現代の育休取得事情
厚生労働省の統計によると、2017年度の育休取得率は、女性83.2%、男性5.14%となっています。男性の取得率は、過去最高を更新したものの、依然として非常に低い数値となっています。
厚生労働省では、2020年度までに男性の育休取得率を13%まで引き上げる目標を掲げていますが、現時点で、その目標を達成するのは極めて難しい状況にあると言わざるを得ません。男性の場合、取得する期間も極端に短くなっています。2015年度の育休の取得期間は、女性の約59%が10~18ヶ月未満であったのに対し、男性の約57%は、わずか5日未満でした。女性の場合、育休を取らずに離職してしまうケースも多く、第1子出産後も仕事を続ける女性の割合は約53%(2010~14年)に止まっています。育児の負担が女性に偏っている現状がここからも見て取れると思います。
厚生労働省などの調査によると、育休をとらない、もしくは、とれない理由として、「社内に制度が整備されていない」、「自分が制度の対象でない」、「キャリア形成に悪影響」、「収入減が不安」、「育休を取りづらい職場の雰囲気がある」、「職場や同僚に迷惑が掛かる」、「育休を取る男性が職場にいない」、「自分にしかできない業務がある」などの声が挙がっています。
よって、企業(経営者)としては、まず何よりも、従業員一人ひとりが安心して活用できる育休制度の整備に努めなければなりません。そのためには、復職後の両立支援を含めた制度設計や従業員への周知徹底などにも留意する必要があると思います。従業員の心理的な負担が軽減されることで、制度の活用もより促進されるものと考えます。
また、育休に理解ある職場の雰囲気づくりも大切です。そのためには、経営者自らが率先して、「仕事は男性、育児は女性」、「育休は悪」といった固定観念の払拭に努めなければなりません。
また、育休で欠員が出た場合でも柔軟に対応できるような組織の体制を普段から整備しておくことも重要です。女性や独身を理由として、育児や業務の負担が一方にのみ偏るような状況は避けなければなりません。
そして、働く我々一人ひとりも自らの意識を変えていく必要があると思います。昨今、働き方や生き方に対する考え方や価値観は多様化しています。育児や介護についても、社会の雰囲気やこれまでの前提に囚われることなく、まずは、自分自身がどうしたいか、家族にとって最善の選択は何かを考えることが大切です。
改めて、自身の育児と仕事の両立について考えてみてはいかがでしょうか。
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