セルフメディケーション税制を活用しましょう!
2018年5月8日(1)セルフメディケーション税制とは
3月の確定申告で話題となる控除の一つに「医療費控除」があります。
医療費控除とは、年間の医療費が高額になった場合に、確定申告をすることで、所得控除を受けられる仕組みです。
平成29年1月1日から、医療費控除に期間限定の特例が設けられました。それが『セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)』です。
長いカタカナでまだ聞きなれないかもしれませんが、この税制がスタートして1年が経過し、今年の確定申告が初めての年となりました。
セルフメディケーション税制とは、健康の保持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行っている方が、平成29年1月1日以後に自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために特定一般用医薬品等購入費を支払った場合には、一定の金額の所得控除(医療費控除の特例)を受けることができる制度です。従来の医療費控除と異なり、少額の医療費でも適用となることから、ぜひ利用したい税制の一つです。
(2)メリット
この制度のメリットは医療機関にかからなくとも医療費控除を活用ができ、手軽に節税ができる点です。
従来型の医療費控除は10万円以上の医療費が発生した場合でないと適用できませんが(総所得金額が200万円以上)、一般的なサラリーマンの核家族で医療費控除の確定申告を行うほど医療費を使う機会は、家族の入院や出産時など数えるほどしかないと思われます。残念ながらこれまで一度も活用したことが無いご家庭が大半だと思われます。
しかしこのセルフメディケーション税制は、多くのご家庭が関係することになると思われます。
新制度における医療費のハードルは1万2千円です。家族全員が使用する市販薬(※1)の合計額が1万2千円を超えればいいのです。
例えば毎年4~5万円位の市販薬を購入していたような方は、医療費控除は使えませんが、セルフメディケーション税制を10万円を限度に存分に活用いただけます。
なお、医療費控除とセルフメディケーション税制の両方を適用することはできないので注意が必要です。
(3)注意したいポイント
この制度で注意したいポイントは、薬を買うだけでは使えないということです。
健康増進に努めていることを証明する必要があります。ですから、インフルエンザの予防接種をした証明書や、健康診断を受けた証明書などの書類添付が必要です。
また、1月1日から12月31日までの間に実施した健康増進であることも確認されます。市販薬(※1)の購入も同じ年の同じ期間内であることが必要です。
なお、健康増進活動を行うのは家族全員である必要はありません。専業主婦(主夫)のご家庭で、配偶者が健康診断を受けていなくとも、家計を支える主たる就業者が健康診断を受けていれば、配偶者は健康診断未受診でも差し支えありません。
新しく始まったセルフメディケーション税制は、私たちの暮らしの中で上手に活用できる身近な税制だと思います。上手に活用し、賢く医療費の削減と、税効果による有利な市販薬の購入に取り組んでみてはいかがでしょうか。
※1 要指導医薬品及び一般医薬品のうち、医療用から転用された医薬品
掲載内容は、2018年03月29日時点での法律等をもとに作成したものです。
HPH180501-009-01